形状記憶/超弾性合金「ニッケル・チタン合金」

応用が広がる新素材の元祖

婦人用下着などで一名を馳せた新素材ですが、価格や加工性などの制約もあって性能は認められながら用途開発は遅れていました。

合理化によるコストダウンや加工技術の開発が進み、眼鏡フレーム、カテ-テルガイドワイヤ、釣具など広い分野での採用が進んでいます。

変形しても元に戻る超弾性の性質

温めると覚えさせたもとの形状に戻るという形状記憶効果で有名になりましたが、変形してもゴムのように元の形に戻る超弾性の性質を利用した製品の方が多く開発されています。

超弾性合金と形状記憶合金

わずかな成分の違いと熱処理条件の違いによって形状記憶効果が現れる温度を変えることが出来ます。
常温で記憶を再生した状態にしたものを超弾性合金、常温では柔らかく曲げても元に戻らない状態のものを形状記憶合金と呼んでいます。

形状記憶合金も記憶を再生した高温の環境では、超弾性合金と同じ性質を持っています。

化学成分 (%) Ni50Ti50
密度 (g/Cm3) 6.4-6.5
融点 約1,300℃
比熱 (cal/mol・℃) 6-8
線膨張係数 (10マイナス6乗/℃) 10
熱伝導率 (cal/Cm・℃・sec) 0.05
電気抵抗率 (μΩ・Cm) 50-110
引張強さ (N/mm2) 700-1300(熱処理後)
1300-2200(熱処理後)
耐力 (N/mm2) 50-200(形状記憶m相)
100-600(同a相)
100-600(超弾性負荷時)
0-300(同除荷時)
伸び (%) 20-60
作動設定温度範囲 -10~100℃
作動温度誤差 ±5℃(サンプル)
±2℃(量産時)
ヒステリシス 2~30℃
降伏回復量100回未満 6%以下
10,000回 2%以下
1,000,000回 0.5%以下
回復応力 30㎏/㎜2(最大)
a相・・・オーステナイト相
m相・・・マルテンサイト相

設定温度になると記憶した形状に戻る[形状記憶効果]は単一方向での作動なので温-冷のサイクル内に形状記憶合金を置いても、合金単体では一度記憶した形状に戻るだけです。

けれども回復応力が大きいので、記憶再生時の動きとは反対の方向に作動させるバイアスばねを組み込む事によって、往復運動をさせることもできます。